私が「ARIA」という作品を最初に知ったのは、2005年放送のTVアニメ第1期。
美しい映像・音楽と作品世界、そして派手さは無いものの心に染み入るような優しいストーリーに引き込まれ、深夜放送だった同作品全話をDVD-Rに焼いて保存し、何回も視聴していた記憶があります。
その後ほどなくして原作コミックにも興味を持ち、ストーリーが一続きの「AQUA」全2巻と、「ARIA」の1-6巻を購入。
暫くは楽しく読んでいた・・・はずでしたが、その後はなんとなく遠ざかり、現在(2014年)まで続巻を買わずにいました。
(※ただしその間に一応、DVDオリジナル作品「ARIA The OVA 〜ARIETTA〜」は購入している)
・・・しかし最近になり、本棚に入れっぱなしだった単行本をふと取り出して読んだところ、また作品世界に引き込まれたので、今度こそ最後まで見届けよう!と思い、残り6巻(第7-12巻)を2014年8月に購入しました。
結果、本作品の単行本購入は、おそらく7-8年ぶりのことだと思います。
実は既にウィキペディア等を見て、ラストまでのストーリーの概略は知っていましたが、実際に単行本を読むと、終盤のメインキャラクター達の「旅立ち」の姿に、正直結構な喪失感がありました。
作品の舞台は、開発により一転して水の惑星となった火星「アクア」の街「ネオ・ヴェネツィア」。
その街で、観光客向けのゴンドラ漕ぎ「ウンディーネ」になることを目指し、修行を続ける主人公「水無灯里(みずなしあかり)」たちの日常を描くかたちで、一話完結のストーリーが展開していきます。
・・・が、11巻のラストから話が急展開していき、主人公達3人の状況・環境も一変。
(もっとも、最後まで読んでからもう一度見返すと、第10巻の「トラゲット」の話での、灯里の操船技術に対する評価が、伏線めいたものではあった)
岡本倫氏の「エルフェンリート」も、読み終わった後にかなりの切なさと余韻がありましたが、現実の体験に近い喪失感という点では、「ARIA」は「エルフェンリート」を明確に上回るもので、創作作品でこれだけの感覚にさせられたのは、私は本作が初めてでした。
3人娘(灯里・藍華・アリス)の中では、練習を共にしてきた友人たちだけでなく、大きな支えだった先輩・アリシアとも会う機会が激減し、更に会社の経営も一人で切り盛りしなければならなくなった灯里が、最も状況の変化(以前との落差)が大きいように感じられます。
(その点では相似形のように、灯里が入社する以前のアリシアの心情も推し量られる)
しかしラストで、(かつてのアリシアと重なるほどに)大人になった灯里の姿を見ると、作品中では描かれていないだけで、実際には灯里の本質はなんら変わっておらず、彼女が感じたアクアとネオ・ヴェネツィアの「素敵」を、一人立ち後もゴンドラのお客達に途切れること無く伝え続けてきた・・・と想像され、その点では安心すべきなのかもしれません。
また、作中で灯里がたびたびメールを送信していた相手は、ラスト第12巻でちらっと描かれていますが、個人的にはこれも非常に意外なものでした。
もっとも、知らない人ともすぐに打ち解けてしまう灯里ならでは・・・という意味では、合点が行くものでもありましたが。
最終巻までを読んで改めて思いましたが、この作品に描かれている登場人物たちの素直さ・ひたむきさ・意志の強さは、私にとっては皆「眩しすぎる」ものでした。
私が単行本から一度遠ざかったのは、自分自身の過去〜現在と比較してしまい、いたたまれなくなった部分があったからかもしれません。
しかし今回ひとまず、こうしてストーリーの最後まで見届けることができ、やはり「出会えて本当に良かった」作品であることは間違い無いと、強く感じるものです。
最後に一つ疑問が残ったのは、第9巻の「Special Navigation」において、ARIA COMPANYができる前からアリア社長が「待っていた」ものは一体なんだったのか・・・ということです。
現状でぼんやりと想像できる部分はありますが、今後もこの作品を読み返し続けていく中で、はっきりと言葉にできるようになれば・・・と思います。
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