2008年にAC100V式の電動耕運機「サンダーバードティラー」を購入したものの、大きい負荷がかかったときの安全機能による歯車の磨耗もあって、耕運の能力(パワー)に強い不満を感じるようになり、最近2年ほどはほぼ使わなくなっていました。
しかし、手作業で土を柔らかくして石灰や肥料を混ぜ込むのは、手間がかかりすぎ、また十分に均等にできないため、「流石にこのままでは駄目だ」と感じ、2012年春に新しい小型耕運機の購入を考え始めました。
エンジン式は長年の実績から信頼性が高いとは思うものの、燃料の用意やエンジンのメンテナンスといった手間が必須になるので、ちょっと性能は落ちても電動式で何か手ごろなものは無いか、と調査。
その結果、鉛蓄電池採用でバッテリー式としては比較的低価格な、オカネツ工業の「Curvo ET40」を見つけました。
とはいっても約8万円と高額であることは変わりなく、アルミスのAC100V式「耕す造 ATP-1000WR」(約2万円)とどちらにするか非常に迷いましたが、現在はメインの畑と別に、数十mほど離れた場所の空き地を新たに畑にしようと取り組んでおり、そのためには電源コードが必要な耕運機では不便すぎることから、2012年5月末に覚悟を決めて、「Curvo ET40」の購入を決定しました。
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今回は、楽天市場の「園joy-marutoyo」さんで購入。
メーカー直送品とのことで、商品の到着には注文から4〜5日程度かかりました。
(※納品書はショップから別途郵送)
商品が来てみると、まず梱包が非常に大きいことに驚きました。(縦・奥行き1m、幅1.4mといったところ)
一方重さについては、箱が大きいためか、思ったよりも重くは感じませんでした。
(軽くはないが、40kg弱程度と思われる)
しかし、何しろサイズが大きいので、1人で持ち運びするのは非常にしんどいです。
流石に室内に運び込むのは合理的ではないため、外でそのまま梱包を開け、組み立てることにしました。
梱包の中はなかなか複雑な構造で、元通りに組み直せる自信はありません。
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説明書や各種金具(抵抗棒、ロックピン等)は、透明プラスチック製ケースに一緒に入っており、説明書については
- 冊子の「取扱説明書」(A4版、25ページ)
- 1枚の紙に印刷された「組立要領所」
の2つが用意されています。
いずれもモノクロですが、内容は丁寧に書かれており、焦らずに読んでいけば組立・使用に戸惑うことは少ないと思われます。
ローターは左右各1つの計2つ。
今回の購入品は「フレンチ爪」付きのタイプで、刃は細く見えますが、実際に手にとってみると非常にしっかりとしたものです。
ハンドルはスチールパイプ製で、流石に長さはありますが、かなり軽く感じます。
強度は、(溶接も含めて)やはりしっかりした感触です。
ハンドルのグリップ部分は、外見的にも握った感覚的にも、自転車のものに近いです。
(右グリップは特に、アクセルハンドルが付いているので尚更)
ただし実際の耕運作業中に、ハンドルに力を入れて耕運機の向きを変える際、グリップのゴム部分が若干抜けてくるので、その点は注意が必要です。
耕運機の直進性を高めるため、ローターの左右外側に取り付ける「サイドディスク」。
これも素材は鉄製で、強度に不安感はありません。
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「Curvo ET40」の本体カラーは赤・青の2種類がありますが、今回は赤を購入しました。
バッテリーや各部品を組みつけていない状態では、耕運機本体は意外にコンパクトで軽量です。
本体の外装は、樹脂製で柔軟性・弾力があります。
ただし説明書では、耕運機本体を持ち上げる際に外装を持たないこと、との注意書きがされています。
本体の下部。
ミッションケースは金属製で、如何にも本格的な耕運機、という印象を受けます。
(流石に8万円もするだけはある)
本体の上面には、バッテリーの搭載部分がぽっかりと空いています。
ちなみにバッテリーの組みつけは、この窪みに押し込むだけで、特に固定するための機構はありません。
ただしこの窪みが深く、またバッテリー自体に十分な重さがある(10kg程度)ため、耕運中に本体が横転しない限りは、バッテリーが外れる心配はなさそうです。
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バッテリーはそれほど大きくは無く、白いプラスチック製の外装と相まって、ちょっと大き目の弁当箱、という印象を受けます。
ただし重さは9kgあるため、小ぶりなサイズの割に重く感じますが、取っ手が付いているので持ちやすさは確保されています。
バッテリーの背面(本体装着時に後方になる)側には、耕運機本体との接続用のケーブルが付いています。
充電器のケーブルを繋ぐプラグは、真ん中の段差(張り出している)の下面の、右側に備えられています。
また過負荷時に作動する「ヒューズブレイカー」のスイッチも、この段差下面の真ん中にあります。
こちらは反対側の前面。
定格は24V 12Ahとのことです。
バッテリーの種類は鉛蓄電池ですが、実際の使用での寿命(充電回数)がどの程度なのか、というのは説明書でも明確な記載はありません。(「使用状況や充電の仕方によって異な」ると書かれている)
充電器の外見は、通常のACアダプターと似ていますが、サイズが1回りも2回りも大きいです。
AC100Vコンセントとバッテリーに繋いで充電を開始すると、アダプターのLEDランプ(バッテリー接続側ケーブルの付け根にある)が赤く点灯し、満充電になると緑色に変わります。
鉛蓄電池なので充電時間も約8時間と長く、実用上は、夜寝ている間に充電を行うのが合理的と思われます。
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耕運機の組立前には、各パーツに貼られている保護シートを剥がしておく必要があります。
ここでは「組立要領書」に従い、まずローターを回転軸に取り付けます。
ローターの刃には、回転方向に応じた向きがあるので、焦らずきちんと確認して組み付けることが必要です。
そしてローターと軸の固定は、ロックピンを差し込む方式になっていますが、このロックピンの差込みにも向きが指定されており、やはり注意が必要です。
構造的には、半円形のピンの留め具部分が、ローターの回転時に基部(可動部分)から引っ張られる向きにする、ということのようです。
この向きが逆だと、ローターの回転時に、留め具部分が開くように(留め具を押す向きに)力がかかってしまいます。
ローターを組み付けた後は、外側にサイドディスクを差込み、同じくロックピンで固定します。
購入前はてっきり、ボルトナットで固定する方式と思っていたので、このロックピン方式は向きに気をつける必要があるものの、組立自体は非常にやりやすく、目から鱗でした。
次に、ハンドルを取り付けます。
本体側のハンドル取り付け部分には、角度調整用のギザギザ(菊座)が設けられていますが、材質はハンドルと同じくスチール製で、強度・信頼性はかなり高そうです。
ハンドルを取り付ける際には、ハンドルのグリップ側にちょっと力を入れて縮めるようにし、取り付け部位(菊座部)を開く必要があります。
最初は説明書の記載を見落としており、腕力で菊座部を無理やり開いて入れましたが、相当な力が必要でした。
一方、説明書通りにグリップ部分に力を入れると、てこの原理により、話にならないくらい楽に開きます。
ハンドルと耕運機本体の菊座を噛み合わせたら、ハンドル締め付けボルトを穴に通し、ワッシャ・Sワッシャを入れ、ハンドル高さ調節ノブ(写真では右側)を締め付けます。
ハンドルの高さ調節は、このノブを緩め、(菊座の噛み合わせ時と同じく)ハンドルグリップ部に力を入れて開くことで、組み付け後でも簡単に行うことができます。
ただし実際の使用時には、このノブが緩んでくる場合もあるので、十分な締め付けと適時のチェックが必要です。
ハンドルの組み付けを終えた状態。
写真は撮影していませんが、この後には本体後方下部に「抵抗棒」を組みつけています。
抵抗棒の固定は、ローター等と同じく簡単なロックピン方式です。
バッテリーパックのセットは、耕運機本体の窪みに差し込むだけですが、意外に深さがあるのでしっかり奥まで押し込むようにします。
最後に、各種プラグを接続していきます。
これは、ハンドル側ケーブルと耕運機側ケーブルの接続部分(運転レバー用コネクタ)。
そしてバッテリーコネクタを接続し、組立は完了です。
ケーブルの長さは若干余裕が持たされているものの、普通に繋いでいるのであれば、位置的にローターに巻き込まれる心配は無いと思われます。
組立完了状態の「Curvo ET40」。
早速畑に運び、試運転を行いました。
バッテリーはこちらで充電していない(購入時のままの)状態でしたが、予め充電してあるのか、動作と耕運性能の確認は十二分に行えました。
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念のためにバッテリーを一晩充電した後、耕運作業に使用してみました。
この畑は一度スコップで掘り起こしており、右写真は耕す前にホタテ貝殻粉末を撒いた状態です。
耕運中に一旦停止して撮影。
耕運機が28kgと十分な重さがあるためか、前進のスピードを遅くすれば、ローター(直径26cm)が土に十分に沈み込み、結構深くまで耕すことができます。
また、ローターの回転速度は毎分96回転と結構ゆっくりめですが、十分にパワフルで、土をふかふかにすることができました。
一通り耕運と混ぜ込みを完了。
今回耕した範囲は約3.5m×10mというところで、ちょっとゆっくり目に進みながらも、バッテリー持続時間の約40分で終了できました。
ただし1回耕しただけなので、粘土土が混じった塊が目立っています(特に手前側)。
複数回耕せば、この塊もかなりの程度細かく砕くことができますが、それにはやはり稼働時間の短さが大きなネックになると感じます。
畑の隅の固い粘土土の部分を、ローターを長めに当てて掘ってみたところ。
耕運機の稼働時間を考えると全く実用的な方法ではありませんが、意外に掘れる、という感触です。
また固い箇所で時間をかけても、安全装置が働くことも無く、耕運機のパワーの強さを感じます。
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耕運終了後のローター・ミッション周りには、やはり湿った土が付着します。
これを落とす際には、万一ローターが回転しないようにするため、本体スイッチをしっかり切っておくことが重要です。
収納時にはまずバッテリーを外し、ハンドル高さ調節ノブを緩めてハンドルを前に大きく倒します。
これにより、キャリーハンドルがちょうど持ちやすい位置(バッテリー収納部の窪み)に来て、本体側のバンパーとともに両手で持ち運びしやすくなります。
写真では前に倒した状態で置いていますが、説明書では、日常・長期の格納ともに「安定した水平な場所に格納してください」とされています。
しかし、耕運機本体のみでは水平状態に置くことができず、この点は工夫が必要なようです。
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当ページの作成時点(2012/7/2)では計2回使用しただけですが、ローターの回転速度や耕運の深さは、YouTubeに投稿されている製品の紹介動画(下記)と全く同じで、電動式ながらも小型耕運機として満足できるパワー・性能を持っていると感じています。
(アカウント「netssolution」さんの動画)
粘土土の場所についても、一度スコップで荒くでも掘り返しておけば、ゆっくりめに数回往復することで(小さい塊は多少残るものの)土をかなり細かく砕き、かき回してふかふかにすることができます。
他方で、下記の点が難点とも感じています。
- 移動用の車輪が標準で付属していない:
本体が重たいため、離れた場所への持ち運びする場合には、本体とバッテリーを別々に運ぶ等、手間がかかります。
- 耕運時の方向転換が難しい:
本体が重く、またローターが深く沈む分、畑の端での折り返し等が難しいく感じられます。
ただしこれは、ローターを回したまま傾けて向きを変える等、扱いに慣れれば解消されるかもしれません。
- バッテリーの持続時間が短い:
現在のバッテリー式耕運機としては、40分という稼働時間は長いほうですが、土が固い畑では複数回の耕運が必要であり、その場合には物足りなさがあります。
- 本体電源が自動オフになるまでの時間が短い:
操作が無い場合は20秒で電源が自動でオフになりますが、これが実際の作業時には意外に短く、頻繁に電源スイッチを入れなおす必要があります。
また、本体のバッテリー残量ランプは、残量により緑・オレンジ・赤・赤点滅と変化しますが、この変化にゆらぎがあり(例えばオレンジになり電源が自動オフになった後、スイッチを入れ直した直後は緑色に戻っている、等)、使用可能時間の目安とするにはちょっと頼りない感があります。
とはいえトータルでは、性能の高さと細部への行き届いた配慮が良く感じられ、約8万円という価格に十分に見合った価値を持つ製品で、思い切って購入して正解だったと感じています。
後は、できるだけ長い間、故障などが発生せずに使い続けられることを、期待したいところです。
※2013/7/10追記:
購入2年目に入りましたが、今年の家庭菜園でも全く問題なく使用できています。
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- 2012/7/2:アップロード
- 2013/7/10:細部をいろいろ変更。
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