2012年6月末に、ダイソン社が羽根無し扇風機「Air Multiplier AM01」「AM02」の類似品について、税関への輸入差し止め申請を進めているとのニュースを知りました。
以前から「Air Multiplier」の類似品が、ネット通販で本家製品より大幅に安く販売されていることは知っていましたが、今後は姿を消していく可能性が高いと考え、楽天市場で「羽根なし扇風機」を検索したところ、「AM01」に似た製品が約4,000円〜で販売されているのを発見。
本物は安くても約3万円と高額で、興味はあるものの到底手を出せないため、「今回が最後のチャンスになるかも」と思い、購入してみることにしました。
販売ショップは幾つか有りましたが、
- 販売ページの記述が丁寧
(「日本向けに製造されている商品」との説明があった)
- 日本語の説明書が付属
との点から、最安値ではなかったものの「Jewel Lovers ネイル&アクセ」さんで購入。
購入価格は「展示品」ということで、500円引きの4,480円(送料込み)でした。
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今回の購入ショップは所在地が北海道札幌市とのことで、私の家(札幌市の近郊)には注文の翌日に到着。
注文品は製品パッケージを、プチプチ(緩衝材)のシートで2重に包んだ状態で送られてきました。
このパッケージはかなり大きい(40cm×40cm×20cm弱というところ)ので、別のダンボール箱に入れるのは非合理的、ということだと思われます。
ちなみにプチプチシートの梱包の仕方は丁寧で、保証書とともに、ショップ側の配慮の細やかさが感じられました。
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先に書いたとおり、パッケージはかなり大きく、最初見たときにはちょっと驚きました。
(尤も円形部分の直径を考えれば、妥当なサイズではあるのだが)
紙や印刷の質は若干安っぽい感触ですが、デザインはしっかりしており、また上面には取っ手が付いています。
ただし、パッケージや付属説明書の何処を見ても、メーカー名は記載されていません。
パッケージの前面。
表記は全て英語ですが、製品各部の解説が、簡潔かつ丁寧に記載されています。
裏面では、製品の主な特徴が列記されています。
こちらも表側と同じく、簡潔で見やすく丁寧なデザイン・解説内容です。
パッケージの側面には、より詳しい製品解説が掲載されています。
正直、メーカー不明な製品としてはありえないぐらい、全体的にしっかりした記載です。
・・・と思っていたら、下記のブログ記事で丁度、本物のパッケージと並べて比較されているのを発見。
- dyson エアーマルチプライヤー AM01(25cmモデル)・到着(ブログ「まだ買ってますか。」さんの記事)
http://madakattemasuka.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16
製品の写真や言語(英語と日本語)などの違いは有るものの、見事?に模倣されており、「まあそんなものだろうな」という気分になります。
パッケージを開封。
パッケージの開け方(構造)は、ダイソンの本物と異なり、上面を開けるタイプです。
また製品の説明書や販売ショップの保証書は、この開けた直ぐの場所に入れられていました。
もう一つ、蓋を開けたときに、2年前に買ったメーカー不明の中華Androidパッドのときと同じような独特の(すっぱい)臭いがしましたが、これは中国製のメーカー不明品では恒例のものなんでしょうか。
パーツ類は、大きい発泡スチロールで挟むようにセットされ、保護されています。
発表スチロールの片側を取ったところ。
このあたりは、意外にしっかりしている印象です。
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今回の製品には、英語と日本語2種類の説明書が付属していました。
まず右写真は、英語版の説明書の表側。
パッケージと同じく一見ちゃんとしたものですが、本物の製品名「AM01」の表記や、「Register Your 1 Year Guarantee Today」の矢印の先に何も記載が無い等、これもパクリの疑念が湧きます。
・・・ということで調べてみたところ、下記URL先ページに本物のマニュアルの一部写真が掲載されており、言語の違いはあるものの、構成・図がまるっきり同じです。
- 組み立ては簡単。円形部とモーター部を重ねてカチッと接続部をはめるだけ(「家電Watch」の「AM01」のレビュー記事の写真)
http://kaden.watch.impress.co.jp/img/kdw/docs/456/406/html/22.jpg.html
まあこれも「あこんなものだろう」というところです。
英語説明書の裏側(内側)。
確認はしていませんが、デザイン的にここも本物のパクリと推測されます。
こちらは日本語版の説明書。
イラストの線にドットが見えて掠れ気味だったり、各所に折れ目もあります。
また説明は簡素すぎる感もありますが、とりあえず普通に使うための手がかりとしては、十分参考にできる内容です。
ちなみに最上部には「EG6101」と型番らしき記載がありますが、これはパッケージにも製品本体にも記載が無いもので、詳細は不明です。
裏面には「安全上の注意・警告」が列記されており、これも日本向けとして意外に配慮されている印象です。
これは、販売ショップさんが添付した保証書。
メーカー名の記載が無い怪しい製品ですが、ショップ側による丁寧な配慮は有り難いです。
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「Bladeless Fan」で風が吹き出る重要部分である円形パーツ。
パッケージには「25cm」と記載されていますが、これは円形パーツの後部(最も径が小さい箇所)の穴のサイズで、円形パーツの内側は前方に行くほどラッパ状に広がっており、外側の直径では30cmを越えています。
※撮影者がちょっと写りこんだため、モザイクをかけてあります。
ベースとの接続箇所。
ループ部分は空洞になっており、大きさと裏腹に、手に持つと非常に軽いです。
接続箇所をアップ。
形に歪さは伺えません。
風が出てくる狭いスリット部分も、同様に形状の異常・不具合はみられません。
全体として、パーツの成型・質感ともに非常にしっかりとしているのは、怪しい類似品としては意外です。
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パッケージから取り出した直後の「Bladeless Fan」のベース部分。
本体側はプチプチの袋で保護されていますが、やはり中国製のメーカー不明品でお馴染みの、質感がちょっとしっとりとしていて頼りないものです。
もっとも製品自体が良ければ、何の問題もありませんが。
ベース部分の前面。
円形パーツと同じく、外装の質感は非常にしっかりとしています。
また電源ケーブルも同じく、被覆のゴムが肉厚で柔らかく、予想外にしっかりしたものです。
ちなみに本項の写真では、撮影者が表面に写りこんで見苦しい箇所があり、そこにはモザイクをかけてあります。
側面・背面はシンプルで、空気取り組み口のメッシュ以外は特に何もありません。
ベースの上面の構造はかなりユニークで、内部はそのままでは見えないのが残念ですが、このメカニカルさにはわくわくさせられます。
ベースの底面。
上のラベルには仕様が記載されていますが、「Item No.」が「AM01」となっている時点で、内容の信憑性に疑念があります。
ただショップの販売ページでは「日本向けに製造されている商品ですので、PSE、CCC認証取得済み」と書かれており、その点は信頼したいところです。
ベースは角度調整機構も備えられており、軽い力でスムーズに動かせ、かつ実際の使用時に(自重で)独りでに動いてしまうことも無い、しっかりとしたものです。
上の写真は、前後各々に最大角度まで動かした状態。
ちなみに首振り機能の使用時には、底面の黒い部分とその上部がずれ合うように回転し、一定範囲での往復運動が行われます。
右写真のパッキンは、最初にパッケージから各パーツを取り出した際に、ポロッと出てきたものです。
「恐らくベースと円形パーツの接続部分に入るものだろう」とは思ったものの、当初は何処にどのように嵌るものなのか分かりませんでした。
その後よく考えたところ、ベース側の接続部側面に、ちょうど嵌る箇所があるのを発見しました。
(これを見つけるまで、知能テストをやっているような気分を味わえた)
ただ、最初はパッキン無しで組み立てて使用していましたが、接続部から風がビュービュー漏れるようなことは無かったので、このパッキンは無くても殆ど問題無いようにも思われます。
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この「Bladeless Fan」には、本物の「AM01」には無いリモコン機能が付いています。
サイズはかなり小ぶりで(手にすっぽり収まる程度)、形状も微妙な曲面が意外に持ちやすいです。
リモコンの表面・裏面。
表面のボタンは
の4種類とシンプルですが、本体の操作ボタンと同じ機能が利用できます。
(※風量の増減は、ボタンの押しっぱなしでは無く、何回も押す必要がある)
ただ、各ボタンは押したときのストロークが長く、押した感触にも安っぽさが否めません。
背面には電池の収納部があり、単4型2本が収まります。
電池収納部の蓋を開けたところ。
蓋のストッパー部分は、首の長さと素材のプラスチックの安っぽさで、何かの拍子に直ぐ折れそうな感があります。
また電池の収納部分も、開口部のサイズが微妙に余裕が無く、電池を(入れるときはともかく)取り出すときは、指で−極のバネ方向に力を入れて電池をずらさないと、上手く出せません。
リモコンの送信部。
ここは普通のリモコンという感じです。
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いよいよ「Bladeless Fan」を組み立て、稼動させてみます。
説明書に従い、まず円形パーツとベースの矢印を合わせて、密着するように押し込みます。
そして、ベースに対して円形パーツを(上から見て)時計回りに回すと、「カチッ」という手ごたえがあり固定されます。
この手の模倣品の購入者レビューを見ると、製品によっては、このパーツ同士の合いが良くない場合もあるようですが、今回の購入品はしっかりとしていて、問題は全くありませんでした。
ということで完成した状態。
上部が大きくベースが小さい見た目とは裏腹に、重心はベースの下部にあるため、床においても不安定さは感じられず、この点は流石だと感じます。
(というより、ダイソンの本家製品が元々優れているのだとは思うが)
また、白く光沢のある外装と、幾何学的な形状が美しく、パチモン製品ではありますが、眺めているだけでもちょっとした充実感があります。
電源を入れると、ベース内部でちょっと唸るような音が起き、円形パーツの前方に向かって風が発生します。
稼動音は、起動後数秒でベース内部の回転が安定すると、デスクトップPCのファンのような音に変わります。
また電源がオンの状態では、電源スイッチ(右写真の一番左)が青く点灯します・・・と言いたいところですが、(本物と異なり)実際にはボタン自体ではなくその周囲が光るという、ちょっとかっこ悪く残念な状態です。
もう一つ、一番右の首振りボタンは円形ですが、実は左右がそのまま首振りの方向に対応しており、押し分けることで任意の方向に振り始めることが可能です。
ただしボタンが小さいので、実際にはちょっと押し分けしづらいのが難点です。
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(楽天市場「Jewel Lovers ネイル&アクセ」)
数多い「AM01」の模倣品のレビューを見て回ると、厳しい評価が多く、この製品についても実際に動かしてみるまで不安がありましたが、現在のところ、結果としては非常に満足しています。
具体的には下記の点に、かなりの満足感を感じています。
- 風の質(肌触り)が優しく心地良い:
風の感触はプロペラ式扇風機と明らかに異なり、柔らかい風(空気の塊)がふわっと押し寄せて、肌を撫でてくるよう。
風量が弱くても非常に心地良く、思わず長時間延々と浴びていていたくなる。
- 風量調整がアナログ:
普通の扇風機のように段階的ではなく、本体の回転式つまみで簡単に、思ったとおりの強さに調整できる。
- 外見がシンプル・幾何学的で美しい。
- 消費電力が小さい:
サンワサプライのワットメーター付き電源タップで大まかに調べたところ、停止時で1W未満、風量最低で3〜5W程度・最高で10数Wといった程度。
(※本体下面ラベルでは消費電力40Wと記載されているが、何故か実際は大幅に小さい)
当ページの作成時点(2012/7/3)で購入から数日程度だが、折に触れて動かしたくなります。
また、他の模倣品の購入レビューでみられるような臭いのきつさは、殆ど感じられませんでした。
全体として、これは扇風機というより、(形は似ているものの)全く別の空調機器という実感を受けるもので、機会があったらダイソンの本物も購入して使ってみたい、という気にさせられました。
ただ勿論、機能的な難点もあり、例えば下記の点が挙げられます。
- タイマー機能が無い。
- 本体の風量調整つまみをどちらに回せば強・弱なのか、明確な記載が無い。(回してみないと分からない)
- 風量調整つまみは、最弱〜真ん中あたりまで回しても実際の風量に殆ど変化が無い。
(真ん中以降からの変化が大きい)
- 風量を最大にすると、稼動音がかなり大きく気になる。(デスクトップPCのファンの2倍ぐらい)
- 首振り機能で、左右の最大点での停止時間がちょっと違っている。
正面から本体に向かって右の最大点のほうが、左より1秒ほど短い。
- 首振り機能で、若干のビビリ(ガクガクとした振動)が生じることがある。
本体底部の黒い部分と、その上部の間の稼動部分に、回転方向の若干の遊びがあり、この遊びの範囲内での上下パーツのずれ具合により、振動が発生する場合があると見受けられる。
- 首振りの稼動部分に、ニュートラル位置の目印が全く無い。(動かしてみないと分からない)
あと中国製ということで、(長時間稼動させる機器であるだけに)モーターの寿命が果たしてどの程度なのか、というのがかなり気になるところです。
とはいえ、購入価格(約4,500円)に対して機能は非常に満足度が高いもので、模倣品でこうであれば、本物のダイソンの製品が高額なのも、個人的にはある程度納得が行きます。
(これまでは正直、「こんな高いもの誰が買うんだ」と思っていた)
ただ、本当に普及を考えるのであればやはり、本家はもっと安くするべきだとは思いますが。
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